税理士がなぜ必要なのか

これを言ってしまうと身も蓋もないのですが、実は税理士がいなくても税務はできます。もちろんそれは税務に関する知識があった場合という条件がつきますが、それがあるのであれば無理に税理士に頼む必要はありません。
これはあらゆる法律関係の書類には本人主義という考え方があるからです。税務に限らず、あらゆる法的な書類はその当事者である本人であれば、特に資格がなくても作成、提出できます。例えば訴訟に関連する書類も、その当事者本人であればその人に弁護士資格がなくても作成、提出しても問題はありません。
それではなぜ、税理士が必要なのでしょうか。中小企業ならともかく、税務に関わる専門のスタッフがいる大企業では知識もあるはずなので、もう税理士に依頼しなくても税務ができそうなものです。
実はここに、資格職の存在意義があります。先ほどの例でご紹介したような大企業にも、必ず顧問税理士がいます。そして決算書や申告書の作成はこうした顧問税理士が行います。もっとも、大企業の場合は拠点やグループ企業なども大量にあるので一人の税理士で全てをこなすことはできず、複数の税理士を抱える規模の大きな税理士事務所や税理士法人などが担当することになります。
これだけ規模が大きな企業の税務となると処理する仕事の量も膨大になるため、社内で全てを完結するのは非常に困難です。仮にできたとしてもミスが多発して、結局何度も税務署とやり取りをすることになってコスト増になってしまうでしょう。
こうした時にこそ、税理士という専門家の存在意義があります。複雑で煩雑な税務をアウトソーシングしてしまうことで業務を効率化し、それを継続的に行うことで税務署からも企業に対して信用が醸成され、痛くもない腹を探られるというリスクを回避することにもつながります。