税理士の役割

顧問先の企業にとっては、税務全般を任せることができる「先生」というのが税理士との関係性です。税理士にとっても顧問先企業は安定して顧問料が入ってくるクライアントなので、収入を確保する意味で大切な存在です。
企業と税理士の間にはこうした関係が成り立っているのですが、税理士の社会的な役割はこれだけではありません。
税金は国や地方自治体が徴収するもので、そこから国や自治体の運営に必要なお金がまかなわれています。税金なくして国や自治体は成り立たないので、税金を徴収する側にとってはとても重要なお金です。社会的にとても大切なお金ではありますが、税金を支払う側にとっては少しでも納税額を減らしたいと思うのが本音です。事実として、納税額を少なくしたいと思うあまり虚偽の申告をしたりして大きな問題になった事例は数え切れません。
こうした状況を放置しておくと、税金はごまかした者勝ちというモラルハザードを起こしてしまいます。税理士には、こうしたことを防ぎ、納税を適正化するという大きな役割もあります。専門化が第三者の立場で公正に業務を行うことで不公平感をなくし、納税者の意識を高めるという効果も期待されています。
よく誤解されているのですが、顧問先の企業がクライアントであるからと言って、税理士が脱税を指南することはありません。クライアントの利益のために仕事をするのは大前提ですが、不正行為は一時的な利益にはなっても、後でそれが発覚すると大きな代償を払うことになるので、決してクライアントの利益になっているとは言えず、また同時に税理士の社会的な役割も果たせていないことになります。
長い目で見たクライアントの利益を追求し、社会全体の納税を適正化するという仕事が、税理士には求められているのです。